時代を超越したスタンダード。

ここはパリにある、かの「Maison Martin Margiela」の総本山。

制作のアトリエ兼オフィスであり、展示会はいつもここで行われています。かつて学校だったという建物の歴史を尊重、白いペインティングと白いオブジェ以外はそのままの状態で利用されています。広大な敷地と学校という背景から、少し独特の奇妙さを感じてしまうのは、僕だけでしょうか。つまり、あたりが暗くなったら何か出そうな、そんな空間なのです(笑)。

僕も、これまで幾度となくこの場所を訪れておりますが、未だ分からない事があります。それは、この建物の中のどこかにあるという「秘密の部屋」の場所です。そこには、これまでマルタン・マルジェラとそのチームが、世界中を駆け回り収集してきたと言われる古着の数々が貯蔵されているらしいのです!
古い洋服を解体してその作りや素材を徹底的に分析、そこに新しい解釈やアイデアを詰めこんで再構築。それが現在まで変わらない、一貫したデザイン哲学。
今となっては、ごく当たり前の制作アプローチとなりましたが、やはりマルジェラがこの制作スタイルの第一人者であり、デビュー当時はとても斬新だったのでしょうね。以前ご紹介した、ジャック・マルソーなどは、100年程昔のヨーロッパからの引用でしたが、マルジェラは主に、世の中のモダニズムが進み、衣服も現代のかたちに近づいてきた、40年代~80年代くらい、そして多種多様な国籍からの引用のようです。それらを、少しブラックユーモア交じりの、シニカルなアイデアで再構築しているように思えます。
「Maison Martin Margiela」は、その「秘密の部屋」であの白衣をまとい、夜な夜な衣服の研究をしておられるのでしょうか。
この階段を上がった…

ここでしょうか?(多分違います(笑))

そんな洋服の歴史を操る「Maison Martin Margiela」のクリエーションの一つの頂点と言える「REPLICA」シリーズのご紹介。このシリーズの定義をMartin Margiela風に言うとこうであります。
「このREPLICAシリーズにおけるマルタン・マルジェラのデザイナーとしての仕事は、対象に使用されている生地や糸など、当時と全く同じもの探し出すことのみである。」
つまり、それ自体非常に完成度が高く、いかにその本物に近づけられるかということ。ここ数年間、毎シーズン数型ずつ発表されており、今シーズンも幾つかありました。その中でも、とりあえずこれが印象的。とても格好良かったです!

生産年 1969年
生産国 ウルグアイ 
都市  モンテビデオ

今から40年も前に作られたとは思えない、モダンな作りに圧倒されました。サイズ感もかなり細め。従来ここのライダースは、少しクラシックで無骨なシルエットのものが多かったのですが、これはかなりスマートな印象。
当時、ウルグアイのバイカーやロッカー達は、こんなクールなライダースを着て遊び歩いていたのでしょうかね。想像すると、また堪りません!
ダークグリーンという色合いも、新鮮に映ります。まさに新しい魅力満載!
開けて着るとこんな感じ。

そしてその証が。

最近、Maison Martin Margielaは南米の魅力にハマり渡航を続けていたらしく、まさにラテンムード満載のコレクションでした。
パナマハットや、アルゼンチンタンゴの舞踏用のシャツなどもREPLICAシリーズから発表されておりました(写真上)。


そんなこんなで、REPLICAシリーズの対象となった洋服が、実際に製造された時代や国に想いを馳せる…。
それが僕の趣味の一つになっているのでした。

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